Olmiite & Oyelite
Locality: N'Chwaning II Mine, N'Chwaning Mines, Kuruman,
Kalahari manganese field, Northern Cape, South Africa
Size: 37mm x 27mm x 21mm
Weight: 20g
商品説明:
透明感と瑞々しさの溢れるピンクグレープフルーツの様なオレンジ色で、粒立ちの良い結晶が鋭く煌めく、南アフリカ産のオルミアイトです。羊のようなフワモコ感が可愛らしい、結晶明瞭なミルキーホワイトの大江石を伴う稀少な標本です。
各鉱物の特徴:
<オルミ石(オルミアイト/Olmiite) - CaMn2+[SiO3(OH)](OH) / Orthorhombic - >
南アフリカ共和国にあるKalahari manganese field でのみ産出する新種の珪酸塩鉱物です。熱水変質作用で生成され、オレンジからピンク、赤、茶色等の色味を帯びた束状結晶の球状集合体で多く産出されます。結晶の色にオレンジ、クリーム色、茶色と大別して3パターン見られるのは、酸化の度合いによる色調の変化のためと推測されています。条痕は白く、短波紫外線で濃い赤色の蛍光性を示します。2006年にKalahari manganese field の N'Chwaning II Mineでマンガン含有量の多いポルダーバールタイト(Poldervaartite / 同じく Kalahari manganese field のWessels Mineでのみ産出)が発見され、新種の鉱物として正式にオルミアイト(由来はイタリアの鉱物学者Filippo Olmi) の名称が与えられました。肉眼での識別はできませんが、マンガンの含有量の多いものがオルミアイトで、カルシウムの多いものがポルダーバールタイトです。 市場ではN'Chwaning II Mine 産がオルミアイトで、Wessels Mine産 はポルダーバールタイトとほぼ見做されていましたが、間もなく世に流通しているポルダーバールタイトは、ほぼ全てがオルミアイトであると判明しました。 実際にはポルダーバールタイトの存在は極めて稀で、80年代の発見当時の産出のみに限られると考えられています。
<大江石(オオエライト/Oyelite) - Ca5BSi4O13(OH)3 · 4H2O / Triclinic - >
1980年に日本の岡山県高梁市備中町布賀で発見された日本産新鉱物で、1984年に草地功らによって、岡山大学の鉱物学者である大江二郎に献名の上、発表されました。それ以前は含水カルシウム珪酸塩鉱物であるトベルモリー石(トベルモライト/Tobermorite)グループに属するトベルモリー石-10Å(Tobermorite-10Å)として記載されていましたが、現在でも解析が困難なため、当グループとの関係性は推測の域を出ないものとして改められています。結晶構造的にはイノ珪酸塩とソロ珪酸塩の中間的な繋がりと考えられ、ビステパイト(Vistepite)やトベルモリー石超族との近似性も指摘されているようです。熱水変質作用で生成され、無色、白色、淡褐色等の針状や細長い薄板状結晶の扇状または放射状の集合体での産出が多く見られます。産地としては原産地の他に古いものから” Crestmore quarries, Crestmore, Riverside County, California, USA”(1956)、”三重県伊勢市水晶谷”(1986)、”N'Chwaning II Mine, N'Chwaning Mines, Kuruman, Kalahari manganese field, Northern Cape, South Africa”(1991)、” Bazhenovsk deposit, Asbest, Sverdlovsk Oblast, Russia”(2019)が確認されています。布賀とCrestmore quarriesでは石灰質スカルン、水晶谷とBazhenovsk depositではロディン岩(Rodingite)中に、またN'Chwaning II Mineでは変成火山堆積岩中の層準規制型のマンガン鉱床に産しています。
▲▼ オレンジ色の細やかな結晶がフレッシュに煌めくオルミアイトに、球状集合した優しいホワイトのオオエライトが共生しています。オルミアイトの層状成長の様子のわかる扇形の断面も見応えがあります。
▲▼ ピンクグレープフルーツを思わせる瑞々しさと透明感で、はち切れんばかりに一つ一つの微細な結晶が膨らんでいます。
▲▼ オオエライトが丁度オルミアイトの窪みの位置に成長しているため、結晶形の確認できる良質な状態で維持されています。窪みの奥は空洞になっているようで、内部にもフワフワモコモコの可愛らしいオオエライトが詰まっています。上にちょこんと付いたカルサイトの結晶もまた愛らしいです。
▲▼ 今やすっかり高騰してしまいましたが、十分にその価値を感じられる程に、上質で見所の多い稀少な標本です。下画像、短波紫外線での蛍光も強く出ています。